森林の保水力は大雨では発揮されないのか?

これまで「大雨になると森林の洪水緩和効果は無視できるのでダムが必要」と主張されることがありました。けれども、「ダムを増やしても、森林が健全でも、水害は防げない」、これが正直な実感ではないでしょうか。大雨の時の森林の保水力については理解が共有されていません(最新の書物「ダムと緑のダム 狂暴化する水災害に挑む流域マネジメント」に対する書評をココに載せました)。森林整備だけで水害を防げるはずはありません。が、ダムが最適だとする国の方針を受け入れてよいかどうかには、まず科学的な議論が必要です。詳しい説明を見る

森林の蒸発はムダな消費なのか?

森林の水源涵養機能に関する「わかりやすい説明(例えばココ)」はどうも「わかりにくい」です。「森林が水資源にプラスにはたらくはず」ことが広く国民に共有されているため、「森林を伐採すると蒸発による水消費が減って川の流量が増える」という研究結果の説明について、林野庁や森林水文学研究者が慎重であったからだと思われます。しかし、最近の研究から、森林の蒸発がなければ雨量が減って気候が乾燥し水資源が枯渇する地域が多いことがわかってきて、森林と水資源の密接な関係を見直すことが必要になっています。詳しい説明を見る

森林は山くずれに無力なのか?

毎年土砂が流れてくるはげ山(右側の図)の下にはこわくて住もうと思わないのに、森林が健全だと(左側の図)かえって山際に家が建てられ、結果的に山くずれや土石流による災害が起きてしまう、自然災害対策にはそういうむずかしさがあります。どうしたらいいのでしょうか。詳しい説明を見る

貯留関数法は緑のダムの効果を表している

治水計画においては、降雨から川の流量を計算するため貯留関数法が広く使われいますが、その物理的根拠は明らかでなく、予測結果に疑義が生じることもありました(例えばココ)。しかし、「雨水が斜面に沿って早く流れるときにピーク流量が高くなり、ゆっくり流れるときに低くなる」という常識に問題があって、「雨水が土壌層を真下に浸透するときにピーク流量が作り出され、土壌での貯留変動が大きいほど低くなる」ことに、貯留関数法の根拠があることが明らかになってきました。なので、貯留関数法は緑のダムの貯留効果を表現していることになります。斜面での観測結果と土壌物理学理論に基づく詳細な説明については、国際誌論文または和文解説をご覧ください。

土壌劣化の流出に及ぼす影響を考える

降雨が同じなら、河川の流量は、大雨のときと日照りのときの変化が小さい(流況が安定している)ほうが、洪水や水不足を避ける上で有利で、基岩の地質の影響が大きいです。意外にも!、比較的森林が良く育つ中古生層の山よりも貧弱になりやすい花崗岩の山や火山のほうが、地下の水だめ効果が大きく、流況が安定しています。山の地質は取り替えられませんよね。だから、同じ地質の山であっても森林の取り扱いで土壌が変化して流況がどのように変化するのか?が流域管理のうえでは問題になります。森林伐採の影響は伐採しない流域を基準にして多く調べられてきたのですが(蒸発散の影響が大きい)、土壌変化には長い年月がかかるので、研究例は少ないです。そこで、7種類(花崗岩4つ、中古生層3つ)で土壌状態の違う流域の流況を比較しました(国際誌論文)。その和訳論文を見る

流域治水における改良主義を再考する

水害に逢われた方々は、まずは生活が元に戻る復興を目指されるでしょう.でも,国や自治体から「被害が起こらないような改良工事(堤防を元に戻すだけではなく,その嵩上げやダムの新設など)をしてはどうか」との提案があると,公共事業で住民の経済的負担がないので、結果的に被害をこうむる者が少数あったとしても、公共のために我慢してもらう、との流れになりがちです.けれども,改良工事をしても,温暖化にともなう降雨規模拡大,都市化による住宅密集,水源山地の森林荒廃,上流域の過疎化などにより,水害は再び必ず起こります.改良のための治水工事も重要ですが,流域土地利用や温暖化抑制などの直接的な治水以外の計画も総合的に検討することが,次の世代の暮らしを支えるために必要なことだと思います.詳しい説明を見る

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