原発事故や環境劣化:優先すべき課題を論じなくて良いのか?

 はやぶさ2は小惑星で採取した物質試料を格納したカプセルを帰還させ、回収を成功に導いた科学技術の高さが賞賛されている。だが、はやぶさ2が打ち上げられた3年前に発生した福島第一原子力発電所事故の復興の道は遠く、未だ住民の帰還には至っていない。経済産業省によれば、炉心融溶で落下した核燃料回収するロボット開発などが進められているが、廃炉まで少なくとも何十年もかかるとのことである。

 限られた科学技術開発予算を緊急に配分して開発すべきは、小惑星物質ではなく核燃料の回収技術だと私は信じる。なぜなら、温暖化や災害や感染症など、現在社会が直面している難題の改善こそ、科学が優先して取り組むべきだからである。

 「社会に役立つ研究」という視点で安易に学問を序列化することは、「学問の自由」に背くことだし、自由な発想による研究への取り組みに対する政治権力の抑圧はあってはならない。としても、現実社会を直視したとき、優先すべき研究を議論し合うことは避けられない。

 そうした議論が自由に活発に為されることこそ、真の「学問の自由」なのではないだろうか。

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